次世代遊技機の導入でパチ屋間の格差が広がりそう

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 3月24日、パチンコ・パチスロメーカー団体である日本遊技機工業組合(日工組)と日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)が記者会見を行い、次世代遊技機と言われているスマートパチンコ・スマートスロットがそれぞれ2023年1月、2022年11月の納品を目標としていることを明らかにした。

 スマートパチンコ・スマートパチスロは、元々「封入式遊技機」(後にecoパチとも呼ばれた)という名で開発が進められていた次世代遊技機で、最大の特徴は、遊技客が直接、遊技球やメダルを触らずに遊技が出来ることや、全国の遊技台の出玉データをデータセンターなるところで一元管理が出来るというもの。

 コロナ禍の影響を受け、玉やメダルに触らない構造が感染予防に資する点や、出玉データの一元管理により、ホールの行き過ぎた釘閉めの監視や、また依存対策の予防にも適するという観点から、警察庁のお墨付きで開発が進められていた。

 本来であれば、本年夏頃にはホールに登場すると言われていたが、世界的な半導体不足や、資材調達の見通しが立ちづらいことから、販売時期が大幅に遅れる見込みとなった。

パチンコホールは次世代遊技機の導入に慎重な姿勢
 某メーカーの開発担当者は言う。

「スマパチ、スマスロの納品時期については、これまでにも何度か延期されてきた。今回の納品時期もあくまで資材調達が出来るであろう希望的観測も多分に含まれている。今後、更に納期が遅れる可能性は十分にある。特に深刻なのは遊技機そのものではなく、遊技機とデータセンターを繋ぐユニット。各メーカー、一体何本作れば良いのかもまだ分からない状況」

 次世代遊技機と言われているスマートパチンコ・スマートスロットを実際に導入するパチンコホール側の意見は様々だ。

 導入積極派の主な意見としては、次世代遊技機の普及のため、スマパチ・スマスロに限り、スペックや出玉性能の緩和が認められる公算が高いという点。特にパチスロ現行機である6号機は、上限2400枚規制(1回の大当たりの最高獲得枚数が2400枚)が撤廃されるのではという噂もまことしやかに流れている。

最大のネックは、高額な導入費用
 遊技機規則等の改正により、旧規則機である5号機が一部地域を除いて一斉撤去になったあと、6号機だけで構成されるパチスロ市場は売上、客数とも日に日に減退している。そのカンフル剤的な役割として、特にスマートスロットの導入を期待するパチンコホールは少なくない。

 一方、次世代遊技機の導入消極派の懸念は、何よりもその設備投資費である。

 次世代遊技機は、遊技機とユニットのセット販売となっており、通常の遊技機よりも初期導入費用がかさむ。またスマートパチンコが遊技球を、遊技機内で循環させるため、現行の島設備の改築等も求められる。

 旧規則機の入れ替えで大枚を叩いたパチンコホールにとって、1年も経たない内の大規模な設備投資は、まさに泣きっ面に蜂だ。

次世代遊技機が、ホール間の格差を生む
 関東某県のホール経営者に話を聞いた。

「結局、スマートパチンコやスマートスロットの導入に積極的なのは大手ホール企業だけ。我々のような中小零細ホールには導入する資金が無い。仮に次世代遊技機に限り出玉性能が緩和されれば、お客様はそっちに流れ、導入出来なかったホールは今以上にお客様を失ってしまう」

 コロナ禍の2年間で、全国のパチンコホールは、1000店以上も閉店・休業に追いやられた。計画上は今度の年末年始に計画されている次世代遊技機の導入を機に、更に大手と中小零細のパチンコホール間の格差が広がり、一層の淘汰が進みかねない。

 前出の経営者は、このように語る。

「それでも今は、パチンコは一定のファンを獲得し、コロナ前の売上を戻している。パチスロも度重なる内規変更等により様々な規制が緩和され、今後発売されるものには一定の期待感はある。無理に次世代遊技機にこだわる必要はない」

 最大1万8000店舗あったパチンコホールは、今や8000店舗強にまで減少した。半分以上のホールが消えた業界にとって、このスマートパチンコ、スマートスロットは、反転攻勢の起爆剤になるのか、それとも風前の灯火に過ぎないのか。

ツイッターでの反応

管理人コメント(無表情)
まあ5年前から予測できた事なので、驚きはないです。