[東京 27日 ロイター] - 人口減少や高齢化などの構造要因にカジノ導入という新たな逆風が加わり、パチンコ業界が浮沈の岐路に直面している。業界が望みをつなぐのは、「庶民のゲーム」としての生き残り策だ。

2月に導入された新規制はパチンコの射幸性を抑えこむ一方、より幅広い客層を呼び込む契機にもなり得る。ギャンブル色を強めてきたパチンコは、大衆娯楽へ変身の手腕が問われている。
<新規制の波紋、小さなホールには試練>

パチンコ業界関係者の頭を悩ませる最大の課題は遊戯人口の減少だ。

日本生産性本部の「レジャー白書2017」によると、2016年のパチンコ参加人口は940万人。07年の1450万人から35%も減った。携帯ゲームの広がりなどで、「ちょっとした空き時間」をパチンコに充てる人が減少。利用客の高齢化も進み、需要は右肩下がりが続いている。

こうした市場縮小に追い討ちをかけると懸念されているのが、今年2月に導入された新規制だ。今回の規制のポイントは、パチンコの出玉の上限をこれまでの3分の2にするなど、射幸性が抑えられた点にある。

ハイリスク・ハイリターンからローリスク・ローリターンになるため、大勝ちを求めてきた顧客の足が遠退く可能性があり「規制変更で、短期的にはパチンコホールの収益は落ちる。ホールの収益が落ちると設備投資も下がるので、プラスに働くイメージはない」(平和(6412.T)執行役員の高木幹悦氏)。新たな顧客層を獲得できなければ、パチンコホール・メーカーの収益は厳しくなる。

東京商工リサーチによると、17年のパチンコホールの倒産(負債1000万円以上)は29件で、3年ぶりに前年を上回った。全国企業の倒産件数が1990年以来の低水準となる中で、前年比2.4倍となったホールの倒産の大幅増は際立つ。東京商工リサーチの谷澤暁情報部課長は「大手ホールの客の奪い合いで、中小が苦しい」と説明する。
<健全な遊戯とは>

ギャンブルか大衆娯楽か──。カジノの導入で、パチンコは「大衆娯楽」の立ち位置をより明確にする必要に迫られる。

パチンコ業界誌「グリーンべると」の深谷祐佳氏は「今回の規則改正の狙いは明らかにカジノとのすみ分けにあったと思う」と指摘する。日本では運営が許可されているのは公営ギャンブルだけで、パチンコは「賭博」ではないとの位置付けだ。

今年出された政府答弁書も、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に基づく規制の範囲内で行われていれば、刑法185条の「賭博」には当たらないとしている。日本でも解禁が近いカジノは「Game of chance」、パチンコは「Game of skill」というように、カジノは運が勝負を左右するのに対し、パチンコは個人の技術介入がある点も「賭博」ではない理由となっている。

しかし「1―2万円を使って満足できた時代はパチンコに来る客が多かった。今は、パチンコに1回行くのに10万円を用意する人も少なくないと聞く」と深谷氏は話す。1回に10万円を投じなければ勝つことができないなら、会社帰りにサラリーマンが気軽に立ち寄る「大衆娯楽」とは言い難い。業界でも「ハイリスク・ハイリターン」の進み過ぎが、参加人口減の一つの要因であるという反省は強い。

「射幸性が高くて離脱した人も、今回の新規制を機に戻るのではないか」(平和の高木氏)といった声など、規制を機に「大衆娯楽」として広く遊んでもらえるようにしたいと、業界は期待を寄せている。
<高齢化との戦い>

ダイナムの会員のうち50代以上は61%に達している。現在は、地域の情報発信拠点やシニア同士が交流できる場としてリアル店舗の必要性を打ち出しているが、携帯ゲームが日常となっている若年層を店舗に呼び込むことができなければ、業界は先細りとなる。

かつては、新台を入れた時には店外で待つ客のために簡易トイレまで設置した福島市内のパチンコ店も、今はそういうことはないという。「パチンコ屋がなくなると、身近な娯楽としてのパチンコを楽しみにしてきた高齢者の中には行き場がなくなる人がいる」と、店を営む鈴木直美氏の危機感は強い。

大和証券の鈴木氏は「ユーザーが戻ってくるかは、遊技機のゲーム性や遊びの幅が重要になると予想される」と話している。


ツイッターでの反応


荒巻
メーカーが注力してるのは「いかに規制の裏をかいてハイリスクハイリターンの台を作るか」ですからね。



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